オリンピックにボランティア参加しよう!

2020年東京オリンピックにボランティア参加したい方に向けて、2016年リオオリンピックの準備、現地の様子をレポート。プロフィールはコチラhttp://5rin.masae3.com/entry/2016/09/24/171200

平昌オリンピックボランティアだより6

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毎日感動続きのまま終わってしまいました、平昌五輪。後半に差し掛かるにつれて、このブログのアクセスも増えて、次は東京だからオリンピックボランティアに興味がある方が増えているのかなぁと感じました。

さて、ブログを通じて仲良くなった志帆さん。フィギュアスケートが開催されたアイスアリーナにてオリンピックボランティアとして活躍されていましたが、2週間(+1週間の研修)を終えて、一時帰国されたそうです。ボランティア総括レポート第一弾【採用編】が送られてきましたので、引き続きお許しを得つつこちらでもご紹介していきます。

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もともとはスポーツメーカーのデサントで働くなど、スポーツが好きな志帆さん。オリンピックボランティアには大学生の頃から興味があったということですが、平昌五輪が決まった翌年の2012年に韓国での1年研修が決まり「生で五輪を見ていいよ」と神様が言っていたんだ(原文ママ)と思われたとか。

そうは言ってもデサントはオリンピック公式スポンサーではありませんし、1ヶ月近く会社を休んでボランティアに参加するのは大変なこと。やはり2012年から周囲の方に協力をしてもらえるよう、仕事も手を抜かずやってきた結果、同僚や上司の方も快く送り出してくれたんだと思います。

平昌五輪(オリ・パラ)に参加する(した)ボランティアの総数は約2万5千人。その中で外国人ボランティアは1,090名、国籍別でもっとも多いのはアメリカ(23.7%)、カナダとロシア(11.7%)、日本人は約11%で116人が参加しました。(中央日報より)

日本人に限らず、志帆さんが現地で会われた多くの外国人ボランティアが言語サービス(通訳ボランティア)として採用されたそうです。しかし、現地入りしてみるとイベントサービス(会場案内係)になったという人が多数。理由は、直前になって通訳業務はプロが担当することになったからだとか。

通訳はボランティアよりもプロにやらせるべき、という議論は毎大会出てくることです。理由としては、主に2つ。
1つ目は通訳業務はストレスも高いしスキルが高い人が担当するのに、ボランティアにやらせるのは酷というもの。
2つ目はボランティアが担当することで誤訳があるなどプロフェッショナルな仕事とは言えなくなるからというもの。

リオ大会で通訳ボランティアとして働いた私としては、通訳こそボランティアの仕事として残して欲しいと思います。なぜなら通訳という仕事はその特異性から参入障壁が高く、なかなか経験できないから。確かに、プロじゃない人が担当することでクオリティに問題が出る可能性もありますが、マネージャーもその辺りはちゃんと理解していて、大事な場面ではスキルの高い人を優先的に使うようにしています。実際、海外ではプロがボランティアとして紛れていることも多いので、応募者の経験を考慮しつつ検討してもいいのではないかなと思います。

テクノロジーが進む昨今、小型同時翻訳機の発展もめざましく、2024年以降はオリンピックボランティアの仕事として通訳業務がなくなる可能性もあります。他の業務にしても、アリババがワールドワイドパートナーに入ったことで、ボランティアの数も大幅に減ることになるかもしれませんね。

話がそれました、採用編でした。
志帆さん曰く、他にも医学部だからメディカルサービス採用だったのにイベントサービスになった、など持っているスキルとは別の仕事を任されるスタッフも多かったとか。

採用の方法は各大会で異なりますし、文化的背景もありますが、リオの場合は「半分は組織委員会が、半分は現場マネージャーが採用」したようです。日本の人事制度では、人事が採用して人事がポジションを決める、のが従来のやり方。個人主義の欧米では、現場マネージャーが面接して採用を決める、のが通常のやり方。長期間かけて人を育てるのが前者、即戦力を常に求めるのが後者とも言えるでしょうか。オリンピックボランティアの場合、仕事期間はわずか2週間ですので、個人的には後者の方が採用手段としては合っていると思います。平昌は韓国だから日本に似た制度で採用が行われたのでしょうか。通常、現場マネージャーは大会半年前くらいからフルタイムで雇用されるそうですが、ボランティアの採用通知は大会の1年前に行われます。もしかしたら、現場でのニーズと、採用したボランティアのスキル・経験・希望にズレがあったのかもしれませんね。

定員2万5千人に対して、10万人の応募があったという平昌オリンピックボランティア。なかなかスキルや経験が考慮されて、更に希望の職場や仕事で採用というのは難しいとは思います。ロンドン大会では7万人の募集に対して、24万人が応募したとされますので、東京オリンピックも採用についてはかなり頭を悩まされていることでしょう。

採用されるボランティアとしては「なんでもいいから、働きたい!」というのが正直なところですし、採用側もやる気のある人に来てほしいのが正直な気持ちだと思いますので、まずはやる気度チェック(笑)を面接でしていただきたいです。

最後に、志帆さんから採用に関しての総論。

ボランティアの採用の基準として、
・最低でも、リーダー職は語学力を重視した採用をしてほしい!
 (語学力というのは、TOEICの点数などではなく、会話力のことです!)
・ガイジンの採用に関しては、各競技の来客予測に応じて適切な人材配置をしてほしい!
 (例えばテコンドーは韓国人を多くつける、卓球は中国人を多くつけるなど)
・学校からの派遣であっても、誰かれ構わず受けちゃダメ!少なくともやる気のある子を。
・本当に好きな競技、やりたい競技のほうがモチベーションは上がるけど、仕事ということを考えたときにそうじゃなくてもいいかもしれない。
(原文ママ)

なかなか強い想いがこもってますね。全て私も同意。4点目は実際に現場を見た人しかわからないと思うのですが、好きな競技(選手)だと、ソワソワして仕事に身が入りませんから「そんなに知ってるわけじゃない」競技の方がオススメです。これは、いつも講演や研修でもお話する際、驚かれるポイントでもあるのですが、みなさん3秒くらい考えて「なるほど〜」

平昌五輪が終わって(パラはこれから)、東京オリンピックに向けてのオリンピックボランティア熱も再燃といったところでしょうか。おかげさまですでに複数の大学、企業様から講演・研修のご要望をいただいておりますが、今後もまだまだ受け付けております。オリンピックボランティアに向けて何かしたいけど分からない、経験者の声が聞きたいといったご要望がおありの学校・市区町村・企業様は、ぜひ下記よりお問い合わせください!

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